エバジャム工房の1周年〜縫製さん編〜

8月に1周年を迎えて、お客さんへの記念プレゼントのためにオリジナルバンダナを作ろうと思い立ったエバジャム工房では、土台となるバンダナ地の縫製を頼める方を探しあぐね最初の一歩から立ち止まっていたのですが、とあるボタンホール工房のマダムに助けてもらって窮地を脱したんです、ね。

前回まではそんなお話しでした。

http://evajam.nihirugyubook.but.jp/?eid=146




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今回はボタンホール工房のマダムに紹介された縫製さんのことから始まります。

縫製さんは国分寺在住の方ということで、ボタンのマダムからもらった番号へ電話を入れて、自己紹介もそこそこにエバジャム側のしたいことを伝えたわけですが、この縫製さんもまた話しがとても早かったわ。


「再来週、三鷹に用事があるから済んだらうかがいます。場所?(エバジャム工房の)だいたい分かるわ、息子がそこら辺に住んでいるから。息子の家の近所だから(この仕事)受けたのよ。」

と、とんとん拍子に、というよりぼんやりしたワタシのペースをぐいぐいと進めてくれる感じで決めてってくれたわ。

こっちのぼんやりさといったらね、なんてったってまだ100枚分の生地を用意していないくらいですもの。


さあ、再来週の、縫製さんが訪ねてくるまでに生地を用意しなくっちゃだわ。

生地、生地。


バンダナに合うようにごく薄く柔らかいコットン100パーセントを探すには、馴染みはないけどやっぱり布の街、生地問屋街日暮里まで行った方が早いだろうと出掛けたわ。


布地や手芸パーツのお店が軒を連ねる日暮里中央通りをぐるぐるとあてどなく歩いて、入った中規模(大規模店は東急ハンズみたい!)の布地屋さんでやっとこれだという生地を見つけたのは問屋街が閉まろうとする18時の30分前くらいだったかしら。


シャツ用だという生地は、あるだけの同じ織りの半端な反物をかき集めてみると、実際には微妙に色違いで、それはそれで理想的。

半端反物は店員さんに概算を出してもらうと、なんとか100枚とれる量だったから、5本すべての反物を布切り台に置いて

「じゃ、これ全部いただきます」

って言うのは、たとえ半端反物であってもちょっとした大人買いの気分で良かったわ。

半端物を一掃するんだもん、もちろん値引きもしてもらったわよ。こういうことがあるのは問屋街でのお買い物の良さじゃないかしら。




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さて、縫製さんが工房へ来て下さる日は朝から雨だったので足下も悪いし、知った土地とはおっしゃっても地図もないのに迷わないかと心配だったわ。

声の感じからきっと年上だろうし、気が引けちゃう。


待ち遠しくって外で待っていると、あらわれた縫製さんはワタシの心配など無駄だったようで、雨用らしきビニル素材のバレエシューズを履かれてさっそうとした足さばきであらわれたの。

さすがに洋裁全般をこなすだけあってオシャレさん。(洋裁をこなす人ってオシャレな方しかしらないわ。)としのころは60代半ばくらいでショートカットがよくお似合いの小柄な女性よ。しかも肩にはヨガマットを背負ってらっしゃる。


縫製さんはヨガ返りだったよう。

エバジャム工房のある三鷹駅北口とは反対側の南口でレッスンだったとのこと。南口から工房まではちょっとした距離があるの。雨の中を歩くなんて、ワタシだったらちょっとうんざりしちゃうけど、縫製さんにそんな様子は見られなかったわ。


さっそく買ってきた生地を見せ、バンダナ寸法と端の処理の仕方を、さらに自分が持っているお気に入りの生地も併せてバンダナ大にしてもらうこと、ほかに余った生地もこうして、ああして、と決めてったの。

ほんの15分程の交渉だったけど、ずっと立ち話だったわ。イスを進めても座ってくれなかったの。なんとなくなんでしょうけどね。


一通りの話しを終えたて、縫製さんにワタシ言ったの、

「ボタンのマダムって良い方ですねえ」

って。そしたら縫製さん、

「そうよう〜、アナタ。あの人になんの得もないんだから。感謝しなくっちゃ!」

と一喝。加えて、

「それに縫製工場なんてこんな色んな要望をきいてくれないものなのよ〜。私だって息子が近所に住んでるから引受けたのよ〜。こんどは孫と来るわね」

と、カラカラとおっしゃったわ。

重いから送りますよと申し出た100枚分の生地を「大丈夫」とまたカラッとおっしゃって帆布でできた大きめのバッグに詰め込んで持って帰っていかれたわ。


なんかだか、気持ちいい方だわ〜。

ボタンのマダムからこの縫製さんにつながって、良かったわ。

ってものをググッと感じる体験だった。




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さて100枚とプラスαのバンダナはだいたい2週間ちょっとあとの6月末で仕上げてもらう予定だったのに、縫製さんからは連絡がなかったの。

日にちを決めてたわけではなかったから、ただ待っていただけだけど。

それでも7月頭には連絡をいただいて、その電話では

「やっと縫い終わったわ。すごく大変だったわ。」

って意外なお言葉のあとすぐに引渡しの日にちを決めてくれたわ。


電話から翌日かその翌々日の工房販売の日に、本当に3歳のお孫さんの手を引きながらいらした縫製さんから、きれいにアイロンがけされ2つにたたまれたバンダナ100何枚を受け取りお礼を言いつつ

「大変でした?」

って聞いたのよ。

「すっごいたいへんだったわよ〜!これね、これだけ細くふちを縫ってね、一枚一枚糸の処理するでしょ、それからアイロンがけもするでしょ、ホントに大変だったわ〜」

せきを切ったようにそんなこと言うから

「プリントは自分でやるから!ちょっとは大変さが分かると思うの!」

とか返してみたら

「あっそう、偉いじゃない。でも私の方が大変よ」

ですって。しかも

「もう2度とやりたくないわ!」

とまで言われちゃって!ワタシ、焦ったわ。

「え〜!ず〜っと、毎年やってもらうつもりだったのに!」


縫製さんひとりで100枚のバンダナを2週間ちょっとで仕上げるのはかなりタイトな作業だったとのことで、だから

「あ、じゃあ、毎月10枚ずつとかだったら大丈夫じゃないですか?生地をどんどん送ってね?ね?」

そんな提案でしぶしぶ「うん」と言わせたわ。

ああ、これで来年からも安心だわ♡


お支払いを済ませたら、縫製さんは工房販売中のジャム棚からジャムを何本か選んで買って下さったわ。

選ばれたのとは別のジャムをオマケで進呈したら、すごく恐縮してらしてそんなとこもとても好感が持てるわ。


さあ、土台は出来上がったわ。

デザイン画はもう出来てるもん。あとはプリントするだけよ。


ラッキーなことに友人のそのまた友人にシルクプリント工房を営む方がいるというので、交渉してもらいその工房を借りての1日作業となりました。

まずは持っていったデザインを版にしてもらったわ。絹(シルク)地に薬品を塗って感光させるそうで、この作業はすっかりまかせちゃった。




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いちばん興味深かったのは色作りね。そう、色は作るんです。

今年目にすることが多く楽しい気分になる蛍光カラー、ピンクにオレンジにグリーンの3色を作ったわ。

いえ、これも作ってもらったんだわ。ワタシは自分の頭の中にある色に近づくまで色をかき混ぜかき混ぜする工房主にOKを出すだけ。

この色作りのインクの組合わせは興味深いものだったわ。あれはプロの勘が必要だと思うわ。


これでやっとバンダナにプリントするまでの準備が整ったわ。

これからがワタシの出番です。

版にインクをのせ、スキージというゴムベラみたいなので版にインクを押しつけて生地に転写していく、ただそれだけのことでも、100何枚分ですからね。

大変そうでしょう?

でもね、日頃のジャム屋の作業もこの日に劣らない単純作業の連続ですもん、すぐにペースをつかんでぐんぐん刷り上げたわよ。


あ、ここまで書いたらワタシの出番たら、この刷りの部分だけだわね。

こうしてみるとたくさんの方の手を借りて作ってんのね。

つくづく迷惑な話しだわねえ。

付合ってくれる人たちがいて、良かったわ。

ワタシはとにかく楽しかった。


来年もまた作りたいの。次の生地選びも楽しみだし。

次のデザインのアイディアだってあるもの。

また付合ってもらえるように、縫製さんにもシルクプリント工房主にもちゃんと連絡取っとかなくちゃ。


ともかくジャム作りに毎週の工房販売をしっかりやらなくっちゃいけないわよ。

記念プレゼント作るための、日々のお仕事。

あら、なんだか順番が違う気がするけど、どっちもやればまあ良いかしらね。



 


プロフィール

 
宇佐美エバ亜希子
うさみエバあきこ
ジャム職人
埼玉県上尾市出身
季節を追った国産果物や野菜のジャムを作ります。 エバジャムを召し上がれ!

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